「個人事業主だと住宅ローンは通らない」「会社員じゃないからマイホームは諦めるしかない」と感じて、申込みの一歩が踏み出せずにいる方は少なくありません。
確定申告で節税を意識するほど所得は下がり、審査での評価も下がる——このジレンマを前に、先が見えなくなっている方も多いでしょう。
結論からお伝えすると、個人事業主であっても、適切な準備と金融機関選びをすれば住宅ローンの審査に通ることは十分に可能です。会社員と比べて見られる項目が異なるだけで、ポイントを押さえて準備すれば通過率は大きく変わります。
この記事では、個人事業主が住宅ローン審査で不利になりやすい理由から、審査で見られる5つのポイント、通過率を上げるための6つの対策、そして個人事業主でも利用しやすい住宅ローン商品までを整理して解説します。
住宅ローン控除や経費計上の注意点、よくある質問への回答までまとめていますので、マイホーム検討の判断材料としてお役立てください。
目次
個人事業主の住宅ローン審査が厳しくなる3つの理由

個人事業主が「住宅ローンに通りにくい」と言われる背景には、金融機関側の明確な審査ロジックがあります。
やみくもに不安を感じる前に、まずは不利とされる理由を正しく理解することが、対策の第一歩です。
所得金額で審査されるため節税が不利に働く
個人事業主が不利になる最大の理由は、審査で使われる数字が「売上」や「年収」ではなく「所得金額」である点です。
所得金額は「売上 − 必要経費 − 各種控除」で算出されるため、節税目的で経費を多く計上している方ほど、書類上の所得は小さく見えてしまいます。
たとえば売上800万円でも、経費を600万円計上していれば所得金額は200万円です。金融機関はこの200万円を基準に返済能力を判断するため、「普段の税金を抑える動き」が、住宅ローン審査ではそのまま逆風になります。
節税と審査対策は方向性が逆だと理解しておく必要があります。
所得金額は「売上 − 必要経費 − 各種控除」で算出
収入の不安定さが返済リスクとみなされる
会社員は勤務先の信用力が返済能力の裏付けになりますが、個人事業主は自分自身で収入の安定性を証明しなければなりません。
- 景気変動
- 主要取引先との関係悪化
- 病気やケガによる休業
など、収入が途絶えるリスクは会社員よりも大きく見られます。
実際、多くの金融機関では直近3年分の確定申告書で所得の推移をチェックします。
3年の中で1年でも赤字があったり、年による所得の振れ幅が大きかったりすると、「返済原資が安定しない」と判断されやすくなります。
平均値ではなく「最も低い年の所得」で審査する金融機関も珍しくありません。
事業継続の不透明性で長期返済が慎重に判断される
住宅ローンは20〜35年という長期の契約です。金融機関が重視するのは「今の返済能力」だけでなく、「数十年先まで返済を続けられるか」という継続性です。
個人事業主の場合、事業そのものが何らかの理由で止まれば、収入も同時に止まるリスクが会社員より大きく見られます。
中小企業庁の『2024年版 中小企業白書』によると、休廃業・解散した企業は年間で5万件前後に上ります。
金融機関はこうしたマクロのデータも踏まえながら審査しているため、個人事業主に対しては長期の事業継続性の証明が求められるのです。
引用元:中小企業庁 2024年版「小規模企業白書」
個人事業主の住宅ローン審査で見られる5つのポイント

金融機関によって重み付けは異なるものの、個人事業主が住宅ローン審査でチェックされる項目はおおむね5つに集約されます。
それぞれで「どの数字がどう評価されるのか」を押さえておけば、自分の現状で何が不足しているかが見えてきます。
直近3年分の所得金額と安定性
最も重視されるのが、直近3年分の所得金額と、その推移の安定性です。
多くの金融機関は「3期連続で黒字」を条件とし、3期の平均値、または最も低い年度の所得を基準に審査を行います。
つまり、1年でも大きく落ち込んだ年があれば、その年の数字で判断される可能性があります。
開業から3年に満たない場合は、申込み自体ができない金融機関も多い点に注意が必要です。
フラット35のように直近1年分の所得で審査する商品もあるため、事業年数が短い方は選択肢を広げて検討しましょう。
年収に占める返済負担率
返済負担率は、「年間返済額 ÷ 年収(個人事業主の場合は所得金額)× 100」で計算される指標です。
金融機関ごとの目安は次のとおりで、この範囲を超えると審査通過が一気に難しくなります。
| 所得金額の水準 | 返済負担率の一般的な目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 年収400万円未満 | 30%以内 | フラット35の基準 |
| 年収400万円以上 | 35%以内 | フラット35の基準 |
| 民間の住宅ローン | 20〜25%が理想 | 金融機関による差が大きい |
返済負担率の計算には、住宅ローン以外の借入(自動車ローン、カードローン、リボ払い、奨学金など)もすべて合算されます。
自分で「払える」と思っている水準と、金融機関が「貸せる」と判断する水準にはギャップが生じやすいため、事前に既存借入を洗い出しておきましょう。
自己資金(頭金)の額
自己資金は、借入額そのものを下げられるうえに「計画的にお金を貯められる人」という評価にもつながる、審査上きわめて重要な要素です。
個人事業主は会社員より返済能力の証明が難しいため、自己資金を多めに用意することで、そのハンデを埋めることができます。
目安としては物件価格の2割以上を自己資金として準備できれば、金融機関からの評価は明らかに変わります。
同じ所得でも、自己資金の厚みで審査結果が変わるケースは少なくありません。
信用情報と税金の納付状況
信用情報機関(CIC・JICC・KSC)には、クレジットカードやローンの支払履歴が記録されています。
延滞、債務整理、強制解約などのネガティブ情報がある場合、住宅ローン審査に通る可能性は大幅に下がります。過去の延滞が心当たりある方は、事前に信用情報の開示請求をして状況を確認しておくと安心です。
また個人事業主にとって特に重要なのが、以下の情報です。
- 税金
- 国民健康保険料
- 国民年金の納付状況
多くの金融機関が納税証明書の提出を求めます。未納があると審査には通りませんので、申込み前に必ず完納しましょう。
団信加入に必要な健康状態
ほとんどの民間住宅ローンでは、団体信用生命保険(団信)への加入が必須です。
団信は、契約者が死亡・高度障害になった際に残債を保険金で完済する仕組みで、金融機関にとってはリスクヘッジの生命線にあたります。
過去5年以内の入院歴・手術歴・服薬中の疾病などがあると、団信に加入できず審査不成立になるケースもあります。
健康に不安がある場合は、引受基準緩和型の「ワイド団信」や、団信加入が任意のフラット35を選択肢に入れることで道が開けます。
個人事業主が住宅ローン審査に通る6つの対策

個人事業主が住宅ローン審査を通すためには、申込の直前ではなく数年単位の準備が欠かせません。ここでは効果が大きい6つの対策を順に解説します。
申込の3年以上前から黒字を維持する
住宅ローン審査の土台になるのは、直近3年分の確定申告書です。
3年連続で黒字を積み上げ、できれば所得が右肩上がりになっているのが理想の状態といえます。赤字の年が1年でも混じると、審査では「安定収入とは言えない」と判断されやすくなります。
マイホーム購入を視野に入れ始めたら、少なくとも3年先を逆算して事業計画と帳簿を整えていくのが現実的です。「住宅ローンを組む3年前から準備する」という発想を持つだけで、通過率は大きく変わります。
申込の前年は過度な節税を控える
節税は個人事業主にとって大切な経営判断ですが、住宅ローンを申し込む前年だけは「所得金額を残す」方向に舵を切ることをおすすめします。
経費計上を抑えれば税額は一時的に増えますが、審査で使われる所得金額は確実に上がります。どうしても節税したい場合は、所得から差し引かれる「所得控除」を使う方法があります。
- 小規模企業共済
- iDeCo
- 生命保険料控除
- 国民年金基金
などは、経費ではなく所得控除として計上されるため、審査で使われる所得金額を下げずに税金を抑えられます。
自己資金を物件価格の2割以上用意する
自己資金は多いほど有利ですが、目安としては物件価格の2割以上を頭金として用意できると審査通過率が上がります。借入額が下がることで返済負担率も下がり、金融機関にとってのリスクが小さくなるからです。
また住宅購入時は、物件価格のほかに
- 登記費用
- 仲介手数料
- 火災保険料
などで物件価格の5〜10%程度の諸費用が発生します。頭金とは別に諸費用分の現金を残しておけると、資金計画にも余裕が生まれます。
カードローン・リボ払いを完済してから申込む
住宅ローン以外の借入は、すべて返済負担率の計算に加算されるため、審査前にできる限り整理しておきましょう。
特に金利の高いカードローンやクレジットカードのリボ払いは、残高を減らすだけで住宅ローンの借入可能額が大きく変わります。
使っていないクレジットカードの「キャッシング枠」も、実際に借りていなくても潜在的な借入として評価されることがあります。不要なカードは解約する、キャッシング枠は0円にするといった対策も有効です。
税金・保険料の滞納をゼロにする
個人事業主は税金・国民健康保険料・国民年金保険料を自分で納める必要があります。これらに未納がある状態では、ほぼどの金融機関でも住宅ローン審査には通りません。多くの金融機関が納税証明書の提出を求めるため、ごまかすことはできません。
未納がある場合は、申込前に必ず完納し、納税証明書を取得できる状態にしておきましょう。過去に分納していた場合でも、現時点で滞納がない状態を作ってから申込むことが重要です。
個人事業主に強い金融機関を選ぶ
金融機関ごとに、個人事業主に対するスタンスは大きく異なります。メガバンクやネット銀行の中には
- 勤続年数
- 年収の足切り
を厳しく設ける先もありますが、一方で自営業者向け商品を整備している銀行も存在します。
1つの金融機関で審査に落ちたとしても、別の金融機関なら通るケースは珍しくありません。
個人事業主が利用しやすい住宅ローン3種類

個人事業主が選びやすいのは、フラット35・個人事業主向けの銀行住宅ローン・不動産担保ローンの3種類です。
それぞれ審査基準と向き不向きが異なるため、自分の状況に合わせて選びましょう。
| 商品種別 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| フラット35 | 全期間固定金利。直近1年の所得で審査される場合あり。団信は任意 | 事業年数が浅い人・健康に不安がある人 |
| 個人事業主向け銀行ローン | 自営業向けの審査ノウハウあり。金利競争力も比較的高い | 3年以上の黒字経営で、金利を抑えたい人 |
| 不動産担保ローン(ノンバンク) | 物件の担保価値を重視。金利は高めだが柔軟 | 他行で審査に落ちた人・資金用途が幅広い人 |
フラット35(直近1年の所得でも審査可)
フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利型の住宅ローンです。
個人事業主にとって最も利用しやすい選択肢のひとつで、民間ローンが「直近3年分の所得」で審査するのに対し、フラット35は「直近1年分の所得」で審査される場合があります。
また団体信用生命保険への加入が任意のため、持病や治療歴で団信に入れない方でも利用可能な点も大きな特徴です。
ただし返済負担率の基準(年収400万円未満は30%、400万円以上は35%)は厳格に運用されます。
個人事業主向けの銀行住宅ローン
銀行の中には、個人事業主・法人経営者向けの審査ノウハウを持つ先があります。
- スルガ銀行
- PayPay銀行
- 楽天銀行
などは、事業の安定性や収益の継続性を示す資料があれば、会社員と同水準で審査を進めてくれる体制を整えています。
この場合は、確定申告書に加えて、事業計画書・取引先一覧・売上推移資料など「事業の見通しを裏付ける書類」をそろえることで、審査側の評価が変わります。
面談形式で事業内容を説明できる店舗型の銀行も、個人事業主と相性の良い選択肢です。
ノンバンクの不動産担保ローン
銀行系の審査が厳しい場合は、購入予定の物件の担保価値を重視するノンバンク系の不動産担保ローンも選択肢になります。
審査スピードが速く、所得や事業年数よりも物件評価を重視する傾向があるため、銀行で落ちたケースでも通る可能性があります。
ただし金利は銀行の住宅ローンより高めに設定されているため、返済総額が大きくふくらむ点には注意が必要です。将来的に銀行ローンへの借り換えを視野に入れて、「まずノンバンクで組み、数年後に借り換える」という戦略もあります。
個人事業主の住宅ローン控除と経費の注意点

個人事業主が住宅ローンを検討するうえで、借り入れと同じくらい見落としやすいのが住宅ローン控除と経費計上の関係です。
特に自宅の一部を仕事部屋として使っている方は、経費として計上する割合によって受けられる控除額が変わるため、節税効果そのものが目減りしてしまうケースもあります。
ここでは適用条件と、自宅兼事務所の方が特に注意すべきポイントを整理します。
- 個人事業主でも住宅ローン控除は問題なく利用可能
- 自宅兼事務所は「居住部分の割合」で控除額が決まる
- 居住部分が50%未満になると、住宅ローン控除の対象外になる
個人事業主でも住宅ローン控除は受けられる
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、個人事業主でも会社員と同じ要件を満たせば適用されます。
年末時点のローン残高に一定の控除率を掛けた金額が、所得税(控除しきれない分は住民税)から差し引かれる制度です。
会社員は年末調整で還付されますが、個人事業主は確定申告で自分で申告する必要があります。
必要書類の準備を忘れないよう、初年度は特に注意してください。
自宅兼事務所は事業使用割合に注意
個人事業主が気をつけたいのが、自宅の一部を事務所として使っているケースです。
住宅ローン控除は「自分が居住する部分」にのみ適用されるため、事業使用割合が高いほど控除対象は減ります。
| 居住部分の割合 | 住宅ローン控除の扱い |
|---|---|
| 90%以上 | 全額が控除対象 |
| 50%〜90% | 居住部分に相当する割合のみ控除対象 |
| 50%未満 | 住宅ローン控除の対象外 |
また、自宅を経費計上する割合と、住宅ローン控除で使う割合は連動します。
節税のために事務所使用割合を高く申告すると、結果的に控除額が減ることもあるため、どちらを優先するかを総合的に判断する必要があります。
税理士など専門家への相談も検討しましょう。
引用元:国税庁 No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等
個人事業主の住宅ローンでよくある質問

個人事業主から寄せられやすい5つの疑問を、審査の実務に沿って解説します。赤字の年があった方や開業直後の方も、諦める前に条件と選択肢を確認してみてください。
Q
個人事業主で年収4000万円の住宅ローンを組むにはいくら必要ですか?
A
35年返済・金利1.5%・返済負担率25%で逆算すると、4000万円を借りるにはおおむね所得金額600万円前後が目安となります。
ただし他に借入がない前提であり、自己資金の額や事業継続年数によっても必要所得は変動します。個人事業主の場合は、年収より「確定申告書の所得金額」が基準になる点に注意してください。
Q
赤字の年があると住宅ローンは絶対に通りませんか?
A
1年赤字があったからといって必ず否決されるわけではありません。金融機関によって判断基準は異なり、以下のポイントを総合的に見る金融機関もあります。
- 「赤字の理由」
- 「その後の回復状況」
- 「直近年の黒字幅」
直近1年分の所得で審査されるフラット35や、事業内容を評価してくれる個人事業主向け銀行ローンも検討しましょう。
Q
開業して1年ですが、個人事業主として住宅ローンを申し込めますか?
A
多くの民間金融機関は事業年数3年以上を条件にしているため、開業1年では申込自体が難しい場合があります。
ただしフラット35は直近1年の所得で審査できるため、選択肢に入れられます。住宅購入を急がない場合は、3年分の確定申告を積み上げてから申し込むほうが選択肢は広がります。
Q
会社員からフリーランスに転向予定ですが、住宅購入のタイミングはいつが良いですか?
A
住宅ローンを組むなら、会社員のうちに申込みを済ませておくのが現実的です。
フリーランスに転向した直後は事業年数が0からスタートするため、多くの民間ローンでは審査対象になりません。すでにフリーランスへの転向を決めている方でも、住宅購入を先に進めるかどうかは慎重に検討しましょう。
Q
他行で審査に落ちましたが、もう諦めるしかありませんか?
A
1つの金融機関で落ちても、別の金融機関なら通るケースは少なくありません。金融機関ごとに審査基準や重視する項目が異なるためです。
落ちた理由(所得・信用情報・物件評価など)を整理してから、個人事業主向けの商品を持つ銀行やフラット35に挑戦するのが有効です。
個人事業主の住宅ローンは対策次第で通過できる

個人事業主が住宅ローン審査で不利になる背景には、所得金額で審査される仕組みや、事業継続の不透明性といった構造的な理由があります。
しかし、それは「個人事業主では絶対に通らない」という意味ではありません。審査で見られる5項目を理解し、3年単位での準備と金融機関選びを工夫すれば、通過率は大きく変わります。
- 個人事業主は「所得金額」で審査されるため節税と審査対策は方向性が逆
- 審査で見られるのは所得・返済負担率・自己資金・信用情報・健康状態の5項目
- 通過率を上げる鍵は「3年以上前からの黒字維持」と「金融機関選び」
- 事業年数が浅い・健康に不安がある場合はフラット35が有力な選択肢
一度どこかの金融機関で審査に落ちた経験があると、「自分はもう住宅ローンを組めない」と感じてしまいがちです。
しかし金融機関ごとに審査基準は大きく異なり、個人事業主向けの商品や、直近1年の所得で審査するフラット35といった選択肢もあります。現状を踏まえた通過戦略を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。
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