住宅ローンを親に組んでもらうには?5つの方法と注意点

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住宅ローンを組みたいけれど、収入や年齢、審査の問題で自分名義では難しい。そんなとき「親に組んでもらえないか」と考える方は少なくありません。

結論からお伝えすると、親名義でローンを組んで子が住む・返済する方法にはリスクが伴い、原則としておすすめできません。ただし、親子リレーローンや収入合算など、親に協力してもらう正当な方法は複数あります。

この記事では、親に住宅ローンを組んでもらう際の基本的な考え方、注意すべきリスク、親に協力してもらう5つの方法と選び方、事前の注意点までを整理して解説します。

住宅ローンは親に組んでもらえる?基本の考え方

「親に組んでもらう」といっても、実際にはいくつかの形があります。まずは住宅ローンの基本的な原則と、親を頼るケースが多い理由を確認します。

結論

住宅ローンは契約者本人が住む家に対して融資される商品です。そのため「親名義で組んで子が住む・返済する」方法は原則認められず、親に協力してもらうなら親子リレーローンや収入合算などの正規の仕組みを使うのが基本になります。

住宅ローンは「契約者が住む家」が原則

住宅ローンは、契約者本人とその家族が居住する住宅を取得するための資金です。つまり「借りた人が住むこと」が大前提になっています。

そのため、親名義で借りて子だけが住む・実際の返済者が子であるという形は、本来の商品の目的から外れてしまいます。「親に組んでもらう」と一口にいっても、単純に名義だけを借りるやり方は想定されていない、という点をまず押さえておきましょう。

親に頼るケースが多い理由

そもそもなぜ「親に組んでもらう」ことを検討するのでしょうか。多くは、自分名義では審査に通りにくい事情があるためです。具体的には次のような状況が挙げられます。

  • 年収が低く、希望額に対して返済負担率が高い
  • 勤続年数が短い、または転職して間もない
  • 非正規雇用や個人事業主で収入が不安定とみられやすい
  • 過去の延滞など信用情報に不安がある

いずれも「自分では審査が心配だから、収入や信用のある親を頼りたい」という動機です。だからこそ、親を頼る前に方法ごとのリスクと正しい進め方を知っておくことが重要になります。

親名義で組んで子が払う場合の3つのリスク

形だけ親名義にする方法には、見落としがちな落とし穴があります。ここでは税金・契約・控除の3つの面から、そのリスクを具体的に見ていきます。

注意
  • みなし贈与とみなされ贈与税がかかる
  • 契約違反・名義貸しになる恐れがある
  • 住宅ローン控除が使えないことがある

みなし贈与とみなされ贈与税がかかる

最も注意したいのが贈与税です。住宅の名義(所有者)が親であるのに、実際にローンを返済しているのが子である場合、子から親への「みなし贈与」とみなされる可能性があります。

贈与税には年間110万円の基礎控除がありますが、住宅ローンの返済は高額かつ継続的なため、超過分に課税されやすくなります。名義と返済の実態がずれていると税務署から指摘を受けるリスクが高い点に注意しましょう。

贈与税がかかる具体的なケースや基礎控除の考え方は、公的な情報で確認しておくと安心です。
参考:国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合

契約違反・名義貸しになる恐れ

親名義で借りながら、実際には子が住み・返済しているという状態は、金融機関への申告内容と実態が食い違うことになります。これは住宅ローンの利用規約違反にあたる恐れがあります。

発覚した場合、金融機関から残債の一括返済を求められる可能性もあります。いわゆる「名義貸し」に近い状態はトラブルの元になりやすいため、形だけ親名義にする方法は避けるべきです。

住宅ローン控除が使えないことがある

住宅ローン控除は、原則として「自分が住むために新たに住宅ローンを組んだ人」が対象です。名義人(親)と実際に住む人・返済する人(子)がずれていると、控除の要件を満たさず恩恵を受けられない、または途中で途切れることがあります。

節税のつもりで親名義にした結果、控除が使えず総支払額でかえって損をする、というケースもあり得ます。目先の審査だけでなく、控除まで含めたトータルで判断することが大切です。

親に協力してもらう5つの方法と選び方

形だけ名義を借りるのではなく、親に正当な形で協力してもらう方法は複数あります。ここでは代表的な5つの方法を紹介し、状況に応じた選び方まで整理します。

ポイント
  • 親子リレーローンで返済を引き継ぐ
  • 親子ペアローンで借入額を増やす
  • 収入合算で審査を通しやすくする
  • 親から資金援助(贈与)を受ける
  • 親族間売買で名義を親から子へ移す

親子リレーローンで返済を引き継ぐ

親子リレーローンは、親が主債務者、子が後継者となり、1本のローンを2世代で返済する方法です。親の年齢が高くても子が引き継ぐ前提のため、長期の借入がしやすいのが特徴です。

一般的に同居が要件で、団体信用生命保険(団信)は子が加入するケースが多く見られます。将来にわたって同居が続く見通しがあるかどうかを、契約前によく確認しておきましょう。

親子ペアローンで借入額を増やす

親子ペアローンは、親と子がそれぞれ別のローンを契約し、2本のローンで1つの住宅を購入する方法です。2人分の借入枠を使えるため、購入できる物件の予算を広げられます。

ただし、親子どちらも収入や年齢などの申込条件を満たす必要があります。それぞれが独立して返済し、住宅ローン控除も各自で受けられる一方、諸費用が2人分かかる点は理解しておきましょう。

収入合算で審査を通しやすくする

収入合算は、子が主債務者となり、そこに親の収入を合算する方法です。親は連帯保証人または連帯債務者となります。年収が少し足りずに審査が心配な場合、返済負担率が改善して通過の可能性を高められます。

名義と返済の主体が子にそろうため、「親名義で子が払う」方法に比べてみなし贈与のリスクを避けやすいのがメリットです。子の収入がベースにある方に適した選択肢といえます。

親から資金援助(贈与)を受ける

ローンそのものを親に頼るのではなく、頭金を親から援助してもらい、ローンは自分名義で組む方法です。頭金が増えれば借入額が減り、返済負担率が下がって審査でも有利になります。

親や祖父母からの住宅資金の贈与には、一定額まで非課税になる特例があります。要件や限度額、適用期限は事前に確認しておきましょう。
参考:国税庁 No.4508 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

親族間売買で名義を親から子へ移す

すでに親名義の家がある場合は、その家を子が買い取り、子が住宅ローンを組む「親族間売買」という方法もあります。名義と返済者が一致するため、贈与とみなされる心配を抑えられます。

ただし、親族間売買は一般の売買より金融機関の審査が厳しくなる傾向があります。売買価格が相場より著しく低いと差額が贈与とみなされることもあるため、価格設定は慎重に行う必要があります。

状況別・方法の選び方

どの方法が向いているかは、親の年齢・同居の有無・審査の状況によって変わります。まずは自分の状況に近いものを、下の比較表で確認してみましょう。

方法主な借入・返済者向いているケース
親子リレーローン親から子へ引き継ぐ(1本)親が高齢で長期借入したい/同居する
親子ペアローン親と子が別々(2本)親子とも収入があり借入額を増やしたい
収入合算子が主体+親の収入を合算子の年収が少し足りず審査を通したい
資金援助(贈与)子(自分名義)頭金を増やして自分で組みたい
親族間売買子(自分名義)親名義の家を引き継いで住みたい

基本的には、返済の主体を自分(子)に置ける方法ほど税務上のリスクが小さくなります。判断に迷う場合は、税金や審査に詳しい専門家に相談してから決めると安心です。

親が住む家を子が買うときに使えるローン

高齢の親のために家を用意したいというケースでは、子が契約者となって親が住む家を購入します。ただし通常の住宅ローンは「契約者本人が住むこと」が原則のため、そのままでは使えないことがあります。次の2つのローンを確認しておきましょう。

親族居住用住宅ローン

親族居住用住宅ローンは、親など親族が住む家のために、子(本人)が組めるローンです。「自分以外の親族が住む家」を対象にできる点が大きな特徴で、金融機関によっては収入合算にも対応しています。

ただし取り扱う金融機関が限られ、住宅ローン控除は原則として対象外です。なお、住む親が連帯債務者になることで控除を受けられるケースもあります。

セカンドハウスローン

セカンドハウスローンは、本人が住まない2軒目の家に使えるローンで、別荘や二拠点生活用のほか、親の居住用の家にも利用できます。すでに住宅ローンがある場合でも、追加で借りられるのが特徴です。

一方で、通常の住宅ローンより金利が高め・審査が厳しめ・返済期間が短めになる傾向があります。返済負担が大きくなりやすいため、長期の資金計画を立てたうえで検討しましょう。

ローン主な特徴主な注意点
親族居住用住宅ローン親族が住む家に使える/収入合算が可能な場合あり取扱金融機関が少ない/控除は原則対象外
セカンドハウスローン2軒目の家に使え、親の居住用にも利用可金利高め・審査厳しめ・返済期間短め

親に住宅ローンを組んでもらう前の注意点

親に協力してもらう方法を選ぶ前に、確認しておきたい注意点があります。次の3つの観点を、順に押さえておきましょう。

ポイント
  • 親の年齢と団信の加入条件を確認する
  • 退職後まで見据えた返済計画を立てる
  • 相続時のトラブルを事前に防ぐ

親の年齢と団信の加入条件

住宅ローンには借入時・完済時の年齢に上限があり、完済時80歳未満を目安とする金融機関が多くあります。親が高齢の場合、借入期間が短くなったり、健康状態によっては団信に加入できなかったりすることがあります。

団信に入れないと、そもそも一般の住宅ローンを組めないケースもあります。親の年齢と健康状態は、方法を選ぶ前に必ず確認しておきたいポイントです。

退職後の返済計画を立てる

親が返済に関わる場合、定年退職後は収入が年金中心となり、返済が家計を圧迫する恐れがあります。特に親子リレーローンでは、子へ引き継ぐまでの間は親が返済を続けることになります。

「退職後も無理なく払えるか」「生活資金は不足しないか」を、親側のライフプランも含めて確認しておきましょう。ボーナスや退職金を前提にしない返済計画が安心です。

相続時のトラブルを防ぐ

親名義や親子共有名義の住宅は、親が亡くなったときの相続できょうだい間のトラブルにつながりやすい点にも注意が必要です。誰がどの持分を相続するかで揉めるケースは珍しくありません。

持分割合と実際の返済負担を一致させ、親が元気なうちに家族で方針を話し合っておくことが大切です。金額が大きい場合は、司法書士や税理士など専門家に相談しておくと安心できます。

審査に通らず親を頼る前に試したい対策

親を頼る前に、まず自分名義で審査を通せないかを見直す価値があります。審査に通らない理由の特定と、相談窓口の活用という2つのアプローチを紹介します。

審査に通らない理由を把握する

審査に通りにくい原因は人によって異なります。返済負担率が高い、勤続年数が短い、他の借入が多い、信用情報に傷がある、といった要因を一つずつ確認することが対策の第一歩です。

たとえば個人事業主の場合、会社員とは見られ方が異なり、事業の継続性を証明できるかが重要になります。詳しくは個人事業主の住宅ローン審査のポイントと対策もあわせてご覧ください。

専門の相談窓口を活用する

金融機関によって審査基準は異なり、ある銀行で通らなくても別の金融機関なら可能性がある、というケースもあります。自分に合った金融機関や方法を見極めるには、相談先選びが重要です。

相談窓口には銀行・不動産会社・FP・専門窓口など複数の選択肢があり、目的によって適した窓口が変わります。住宅ローンの相談はどこにする?6つの相談窓口の選び方で自分に合った窓口を確認し、親を頼る以外の選択肢も含めて検討してみましょう。

住宅ローンを親に組んでもらう際のよくある質問

親に住宅ローンを組んでもらう際によく寄せられる疑問をまとめました。判断の参考にしてください。

Q

親が高齢でも住宅ローンは組めますか?

A

完済時80歳未満を目安とする金融機関が多く、高齢だと借入期間が短くなったり、健康状態によっては団信に加入できなかったりします。親子リレーローンなら子が返済を引き継ぐ前提のため、比較的長期の借入がしやすくなります。

Q

親名義の家に子どもが住んでも問題ありませんか?

A

住むこと自体は可能です。ただし、親名義のローンを子が返済しているとみなし贈与や契約上の問題が生じることがあります。収入合算や親族間売買など、名義と返済者を整える方法をあわせて検討するのがおすすめです。

Q

住宅購入時に親から3,000万円もらうと贈与税はかかりますか?

A

通常はかかりますが、住宅取得等資金の贈与の非課税特例や相続時精算課税制度を使えば、一定額まで非課税にできる場合があります。非課税限度額や適用要件、期限は変わることがあるため、最新の内容を国税庁の情報や税理士に確認してください。

Q

親子リレーローンと親子ペアローンの違いは何ですか?

A

親子リレーローンは1本のローンを親から子へ引き継いで2世代で返済する方法、親子ペアローンは親子がそれぞれ別々に2本のローンを組む方法です。長期の借入をしたいならリレー、親子とも収入があり借入額を増やしたいならペアが向いています。

Q

親が住む家を子が買う場合、住宅ローン控除は使えますか?

A

親族居住用住宅ローンでは、原則として住宅ローン控除の対象外です。ただし、住む親が連帯債務者になるなど一定の条件を満たすと受けられるケースもあります。適用可否は金融機関やFPに事前に確認することをおすすめします。

住宅ローンを親に組んでもらう方法のまとめ

親を頼る方法は複数ありますが、いずれも税金や審査の条件が絡むため、自分の状況に合った方法を選ぶことが何より大切です。

この記事のまとめ
  • 親名義で組んで子が払う形は、みなし贈与や契約違反のリスクがある
  • 親に協力してもらうなら、親子リレー・ペア・収入合算・贈与・親族間売買が現実的
  • 親が住む家を子が買うなら、親族居住用住宅ローンやセカンドハウスローンが選択肢
  • 親の年齢・団信・退職後の返済・相続時のトラブルに注意する
  • 審査が不安なら、まず自分名義で通す可能性を高める方法も検討する

特にみなし贈与や住宅ローン控除の扱いは、選ぶ方法によって結果が大きく変わります。

「どの方法が自分に合うか分からない」「そもそも審査に通るか不安」という場合は、無理に親名義にする前に、税金や審査に詳しい専門家・相談窓口を活用して、後悔のない選択をしましょう。

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